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お菓子ストーリーズ

ヌガティーヌ・ショコラ(Nougatine Chocolate)

2021/11/02


ヌガティーヌ・ショコラ(Nougatine Chocolate)①

食感を楽しめるチョコレート菓子をつくろう・・・

「ヌガティーヌ」は、フランス語で、砂糖、水アメをカラメル状になるまで煮つめてアーモンドなどを加えて薄く延ばした菓子。「ショコラ」はチョコレートのことを言います。今回、ご紹介する『ヌガティーヌ・ショコラ』は、私が東京の「ラ・テール洋菓子店」での修行時代に、初めて作らせていただいた、バレンタインのお菓子です。「ラ・テール洋菓子店」では、生チョコなどの定番商品以外は、毎年、新商品を出すことになっています。私に与えられたテーマは、「ナッツとキャラメル」でした。全体の商品のラインナップを見ると、チョコレートに生クリームをいれたガナッシュを使った、やわらかい食感のものが多かったので、私はパッリとした食感を楽しめるお菓子につくろうと考えました。

この「ナッツとキャラメル」そして「食感」の3つのテーマのチョコレート菓子を、今までの自分の経験、本、講習会など、自分の中にある知識を振り絞ると一つの答えが出てきました。パリッとしたキャラメルに、色々なナッツを散りばめ、そしてチョコレートと合わせる。これが、最初のインスピレーション、ひらめきでした。現在の『ヌガティーヌ・ショコラ』の原型となるものは、15年前に出来上がりました。

キャラメルを煮詰める・・・

『ヌガティーヌ・ショコラ』のキャラメルは、水飴、グラニュー糖にバターを加え、よりリッチな風味にしています。上記の写真は、混ぜ合わせた状態です。この状態では、キャラメルの風味は全くしません。バター風味のミルキーな甘みです。このお菓子のキャラメルは、チョコレートやナッツの味に負けない、強さが必要なため、全体の4割のバターを加えています。バター抜きでもキャラメルはできますが、バターがないとチョコレートにナッツがのっているチョコレート菓子になってしまいます。

「キャラメル」のテーマは、煮詰めです。煮詰めが甘いと、ミルキーなキャラメル。逆に強いと苦みのあるキャメル。どちらが良いというわけではありません。ナッツ、チョコレートと合わして、食べたときの風味、旨味を想像してオーブンで煮詰めます。上の写真は、170度のオーブンで、20分入れた状態です。ぐつぐつと煮立っています。オーブンの熱は、周りから中心にはいるので、中心は周りより白いです。この状態になったら、よく混ぜて、全体を同じ色にして、またオーブンにいれます。ひと手間かかりますが、下の写真のような全体が同じ色になることで、どこを食べても同じ味になります。混ぜないで、オーブンに入れていると、周りが苦く、真ん中はミルキー味になってしまいます。

『ヌガティーヌ・ショコラ』のキャラメルのポイントは、均一に煮詰めるです。煮詰め具合の状態を見ながら、美味しいキャラメル色にします。美味しいキャラメル色になると、ほろ苦さの中に甘さのあるキャラメルになります。