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お菓子ストーリーズ

ダックワーズ(Dacquoise)①

2021/07/29


ダックワーズ(Dacquoise)①

『ダックワーズ』とは、「DAX(ダックス)の」という意味で、フランスのダックス地方の郷土菓子です。アーモンド風味のメレンゲ生地で、表面はサクっとして、中身はふんわりした食感。サンドのクリームはコーヒー味です。もともとフランスではアントルメ(ホールのケーキの底生地)で使われていたものです。現在の小判型のものは日本生まれで、福岡の有名洋菓子店「16区」のオーナシェフの三嶋氏がフランスで修行中に日本の最中にヒントを得て考案されたそうです。このお菓子の本来のフランス語の発音である「ダッコワーズ」から響きの良い『ダックワーズ』に名前をかえ、1981年に「16区」を開店する際に販売されたそうです。現在では多くの洋菓子店で普通に売られるほど、日本の代表的な焼菓子になっています。

私も『ダックワーズ』を東京に出て初めて食べた時は、こんなに美味しい焼菓子があるのかと思うくらい感動しました。修業時代、お菓子屋巡りの際は必ずと言っていいほど購入していました。もちろん、福岡の「16区」の『ダックワーズ』も買いに行きました。特に感動したのを覚えているのが、今は閉店しましたが、東京都八王子にある名店『ア・ポワン』の『ダックワーズ』です。色々な名店のものを食べましたけど、メレンゲの生地の扱い方が秀逸で、繊細でふわっとして、かつ口の中ではかなく消えてなくなる食感は絶品でした。

『ダックワーズ』は、職人の力量を表すお菓子・・・

表面は薄い砂糖の膜で、口に入れた瞬間、サクッと繊細な食感。次にメレンゲのふんわりとした食感と芳醇なアーモンド風味。そして、最後になめらかで口どけの良いバタークリーム。メレンゲの生地とバタークリームの二つの構成の中に、パティシエ、菓子職人としての知識、技術、想い、感性、つまり力量のすべてがつまっているお菓子だと思います。

作り方は、卵白に砂糖を入れてメレンゲを立て、その中に粉末アーモンドと粉糖を入れ合わせます。次にダックワーズの型に流しいれ形を整え、粉糖をかけてオーブンで焼きます。街のスーパーにある材料で作ることができるお菓子です。でも、卵白の温度、卵白にいれる砂糖の配分、ミキサーのスピード、メレンゲの泡立て具合、砂糖の粒子の大きさ、粉末アーモンドの粒子の大きさ、ダックワーズ型の高さ、混ぜ具合、粉糖のかけ具合などなど・・・・・。生地を作る工程は、とてもシンプルですが、そのシンプルさの中に、多くの注意点、決まり事があります。それが一つでもかけると、美味しい『ダックワーズ』はできません。私が、修行を終え実家に帰ってから始めて作ったお菓子が『ダックワーズ』です。その当時の力量である知識、技術、想い、感性のすべてをぶつけたお菓子です。