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お菓子ストーリーズ

ダックワーズ(Dacquoise)③

2021/08/04


ダックワーズ(Dacquoise)③

砂糖を選ぶ・・・

『ダックワーズ』を作るための素材は、「卵白」「砂糖」「粉末アーモンド」の三種類です。「小麦粉」を使う配合もありますが、私は使いません。理由は後ほど。

「卵白」は私が住む千葉県匝瑳市(そうさし)にある「九十九里ファーム」さんの新鮮な卵から卵白を取り出し使っています。生みたての新鮮な卵を使っているので、ブリっと盛り上がりのある卵白、専門用語でいうと「濃厚卵白」です。お菓子の専門書では、メレンゲを立てるときの「卵白」は、日にちを置いて、「濃厚卵白」から「水様卵白」にすると、よく泡立ちますと書いてあります。もちろん正解ですが、私は時間を置かず新鮮な卵白を使うことで、『ダックワーズ』には、泡立ちよりも、最適なコシのある強いメレンゲ、粉類とあわせても潰れないメレンゲを作ることができると理解しています。これは、それぞれのパティシエ考え、経験からの答えであり正解はないと思います。私の中では、やはり新鮮な素材でお菓子をつくり、鮮度がいい状態でお客様に召し上がっていただきたいという思いが一番なので、新しい卵白を使うのが正解だと思っています。

「砂糖」はメレンゲを作るときに、「グラニュー糖」を使い、粉末アーモンドと一緒にするのは「粉糖」を使います。「グラニュー糖」はスーパーにも売っていますが、今回はさらに粒子が細かい「微粒子グラニュー糖」を使っています。前回の『ダックワーズ②』でもお話をしましたが、卵白は冷蔵庫で冷やしたものを使いますので、通常の粒子の「グラニュー糖」を使うと冷えた卵白では溶け切らない可能性があります。そのため完全に粒子が溶け切るように、「微粒子グラニュー糖」を使います。

   <微粒子グラニュー糖>

微粒子グラニュー糖

 

<通常の粒子のグラニュー糖>

 

「粉糖」は、グラニュー糖を粉末にしたサラサラの状態のものです。「粉糖」は「粉末アーモンド」と一緒にして、メレンゲと混ぜ合わせます。ここでの「粉糖」の役割は、①焼き上がりの生地の保形性を出します。②メレンゲの泡を、粉末アーモンドを直接合わせないようにするクッションの役割。メレンゲの泡は、アーモンドの油脂と直接合わすとすぐに壊れてしまいます。「粉糖」と粉末アーモンドををよく振るうことで粉末アーモンドの周りに粉糖がからむので、粉末アーモンドとメレンゲと直接合わさるのを防いでくれます。しっかりと混ざり合っているけど、メレンゲの泡を残った生地を作ることできます。

<粉糖>

『砂糖』には、沢山の種類があります。一つの焼菓子をを作る上でも、最適なものを選定して最高のお菓子をつくろうと知識、技術、経験、情熱の要素を入れ込んでいます。そして、大事なのが納得いくまで、何度も試作すること。そして、完成してからも「もっと美味しくするにはどうすればよいか?」を心に置き、マイナチェンジを繰り返すことだと思います。これからも美味しくするために変えていきます。