と々菓 ③
2023/10/10
と々菓③
厚焼き最中・・・
「厚焼最中」の一番の特徴は、その名の通り、厚いこと。通常の最中皮が3mmに対して、3倍にあたる9mmになります。最中皮が厚くなることで、食感が、サクッとから、「パリッとサクッ」に変わります。そして厚くすることで、最中皮の香ばしさ、風味も増していきます。
手作り最中を自分なりに・・・
「手作り最中」は、最中の皮と餡を別にして包装してあるため、食べる時に餡を最中の皮に挟むため、サクッとした食感を楽しめる和菓子。これを、はじめて食べたのは東京で働いているときに、「たねや」さんで、購入した時です。通常は、餡と最中の皮が一緒になっていますが、「手作り最中」はその名の通り、自分で作り、食べる最中。通常の最中しか食べたことがなかったので、初めて食べたときのは衝撃的でした。食感を残した最中、和菓子!!というのが、一番の印象です。
和菓子と洋菓子の違いの一つに、「食感」の多様性があると個人的に思います。和菓子、洋菓子がどちらが良い悪いという意味ではありません。文化や歴史、素材、オーブン、日本人、ヨーロッパ人の志向、好みなど様々な要因により、「食感」の違いが生まれたと思います。
例えば、和菓子では、お饅頭、どら焼き、最中など、生地や餡が一緒になっているため、食感の違いは、それほど大きな違いはないと思います。生地と餡との「一体感」が和菓子の良さだと思います。洋菓子では、クッキー、メレンゲ、チョコレートなど、様々な食感のものがあります。それらとムースやクリームなど水分の多いものと一緒にする際、バタークリームやチョコレートなどの油脂でコーティングすると、水分の移行が遮断され、食感が残ります。この食感の違いが洋菓子の良さだと思います。
自分も「手作り最中」のような「食感」を活かした和菓子を作りたいと思ったのが、『と々菓』の第一歩でした。今まであるような「手作り最中」ではなく、「自分なりの手作り最中」をつくるため、餡、最中の皮を試行錯誤しました。特に、大事にしたのが「食感」を出すこと。そこで、たどりついたのが、厚さ9mmもある「厚焼最中」です。通所の最中皮のサクッと食感ではなく、パリッ、サクッとした食感。そして、厚みがあるため、噛む回数が自然と増えるため、香ばしいお米の風味を味わえます。
最初は、通常の手作り最中のように、厚焼最中で餡を挟むことを考えたのですが、挟んでみると、厚さが3cm近くにもなり食べにくい。一口食べると、餡が飛び出てしまう。そして、風味の点でも、2枚ある「厚焼最中」の香ばしさが、餡に勝ちすぎてバランスの悪い最中になってしまいます。最終的に、「厚焼最中」の食感を活かし、かつ餡との風味のバランスを考えると、行きついた先が、餡を「厚焼最中」にのせる方法です。
この方法だと、餡が多い時の味わい、少ない時の味わい、そして個人の好みによって餡の量を変えることができる。自分の好みに合わせて食べることができる、最適な方法に行きつきました。