さかもとロール⑥
2021/09/22
さかもとロール⑥
生クリーム・・・
「クリーム」は生乳や牛乳を分離して取り出した「動物性脂肪(乳脂肪)」のみを原料としたもの、一般的に「生クリーム」と言われるものを使っています。乳脂肪に添加物、安定剤、乳化剤、植物性油脂などを添加したものは、「生クリーム」と言うことはできません。「生クリーム」を泡立てる時の一番の注意点は、十分にボウルの底をたっぷりの氷水にあてて冷やしながらミキサーを回すこと。泡立ての温度は、3~6℃を厳守です。
冷たい状態・・・
クリームは温度に敏感です。温度の高いクリームを泡立てると、空気の泡を抱きこまないうちに固まって、ボソボソになってしまいます。きれいで美味しいクリームを作るには、冷蔵庫に入れてよく冷やしたクリームを、冷たい清潔な器具を使って、氷水を当てて泡立てることです。ここでのポイントは、クリームは部屋の空気が入って泡立つということ。つまりクリームが冷たくても、部屋の温度が高ければ、泡立ったクリームの温度は高くなります。特に夏は室温が上がりやすいので、私はミキサーで泡立てる時は、氷水につけミキサーの上をサランラップでおおいます。クリームも周りの空気も完全に冷たい状態にして泡立てます。泡立ててからは、ボールにラップをかけて氷水を当てたまま冷蔵庫に入れ、さらに温度を下げるます。
素材を知ると美味しくなる・・・
私が東京での修行時代、ドキュメンタリー番組で、パティシエ業界では天才的なシェフがこんなことを言っていました。「自分が憧れて、やっと修行させてもらえたフランスの名店のレシピが、フランスの製菓学校のものと全く一緒だった。でも、とてつもなく美味しかった。」と語っていました。この意味は、レシピでお菓子は作れない。例えばバターなら、バター、フルーツならフルーツの特質を知り、最適な取り扱いをする。そして、丁寧に最高の作り方をする。それを、当たり前にして、毎日毎日、当たり前のことを続けると、それが特別になる。
今回の「さかもとロール」のクリームも同じことです。ただ単に、クリームに砂糖をいれて、ミキサーで泡立てるのではなく、自分の意思をそこに込めるとこうなります。クリームの温度は、3~6℃を維持するように、必ず氷水につけて泡立てる。泡立てるスピードも、クリームの泡が均一にして壊れないようにするため、中速のスピードで泡立てる。室温の空気がクリームに取り込まれないように、サランラップでおおい泡立てる。泡立てが終わったら、氷水につけ、サランラップをかけて、冷蔵庫でさらに冷やす。最後に、ホイッパーで均一に泡立て直して、生地にクリームを流す。
自分の意思を込めて、一つの素材に向き合うと、色々なことが見えてきます。今よりも少しでも美味しくを心に置いて、これからも「さかもとロール」をつくり続けます。