御挨拶
2021/07/27
御挨拶
この度、菓子職人としてお菓子作りへの想い、日々の仕事、私生活において考えること、感じることを皆様へ知って頂こうと思い、『お菓子ストーリーズ』をはじめることにしまた。坂本総本店は、文化2年(1805年)の江戸後期に創業。その当時、近くに茄子畑があり「茄子」を砂糖漬けにした銘菓『初夢』を創りあげました。そして、明治四十四年に大正天皇が皇太子のとき八日市場を行啓された際に献上した銘菓『落花煎餅』がございます。 この2つの御菓子が坂本総本店の柱となり、全国の沢山のお客様から愛されるようになり現在も受ける継がれています。
現在は、9代目にあたる多部田惣八郎より、多部田徳也が10代目を引き継ぐことになりました。私は、姉、私、妹の3兄弟、男は一人のでしたので、周りの方々からは、「跡継ぎ、跡継ぎができた」と物心ついた時から、よく言われたことが記憶にあります。自宅では隣が工場のため、落花生、小豆、お餅などのお菓子の香りがする環境で育ってきました。
私が学生を卒業して、お店の工場に入り、お菓子作りが人生が始まることになりました。初めは一番、主となる「落花煎餅」を熟練の職人から教えていただき、時間があるときに、他の和菓子を勉強させていただいた日々でした。しばらく、仕事をしていくうちに、街並みの様子や地方の現状等がわかってくると様々な問題点が20代の頃の私でも分るようになりました。私が住む千葉県匝瑳市(そうさし)でも、日本の地方が抱える人口減少、少子化による子供の数の減少があります。子供の減少により、和菓子屋にとっては、3月のひな祭り、5月の節句のお祝いなど注文が、祖父や父の代と比べて減っていると両親は季節ごとの経験や問題点、課題を伝えてきました。
私は自分の今の立場、地域の現状、そしてこれからの時代に求められるものは何か?これからどうすれば、やっていけるのか?を自問自答する毎日が始まりました。1か月考えて末、洋菓子を勉強しようと思うようになりました。洋菓子のケーキならお誕生日やクリスマスなど御祝い事がに使っていただける。「和菓子屋」だけでなく「洋菓子」もはじめて、『御菓子屋』をやれば、より多くのお客様に求められるお店になれると思いました。早速、両親に「洋菓子」を勉強するために、東京のお店に行かせてほしいと伝え、東京の洋菓子屋で9年間修行させて頂き、現在は「和菓子」と「洋菓子」の二つをあわせた「御菓子屋」を営んでいます。
坂本総本店が目指しているのは、地域、そしてお客様に必要とされ、なくてはならない存在になること。 そして、お客様から「坂本総本店があって、本当に良かった」と心から言ってもらえる存在になるために、日々精進して参ります。
株式会社 坂本総本店
代表取締役 多部田 徳也