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お菓子ストーリーズ

ほまれ⑤

2021/10/16


ほまれ⑤

糸寒天で固める・・・

『蜜漬け』した小豆を、網にあけ、「小豆」と「小豆蜜」に分けます。時間にすると、30分は置いて、しっかりと蜜を切ります。次に一晩、水に漬けた糸寒天を火にかけ、糸寒天を完全に溶かしま(小              (小豆)

(小豆蜜)

(糸寒天)

「寒天」は、「餡」を固める材料としてなくてはならない素材です。「ほまれ」には天草100%の「天然糸寒天」を使用しています。職人の長年の技術と経験、こだわりを活かし天草を大窯で煮て良質な寒天を抽出します。真冬の凍てつく寒さを利用して、自然凍結、自然乾燥を2週間かけておこなう江戸時代からの伝統製法から「天然糸寒天」が生み出されます。

「寒天液」

「糸寒天」が完全に溶けたら、鬼ザラ糖を加え、沸かしながら、溶かします。完全に溶けたら、網で裏ごします。これが餡を固める寒天液の完成です。

糖度を合わす・・・

この寒天液に、あらかじめ分けておいた「小豆蜜」を合わせて煮詰めていきます。糖度計でしっかりと糖度をはかり、糖度が「50」になったら、蜜をきった「小豆」をあわせます。糖度が50より高い状態であわすと、最終的に出来上がった状態の「小豆」が浸透圧により、硬くなります。逆に、50より低い糖度であわすと、小豆を煮る時間がかかりすぎるので、小豆の粒が残らないです。そのために、自分の感覚ではなく、糖度計をつかって、正確にはかります。

糖度とは甘さの基準で、液体や固体の中に含まれる糖分の割合のことを言います。ジャムや果物の糖度は聞いたことがあると思います。例えば、スーパーなどでメロンの糖度16度以上や、イチゴ13度など記載されていくかと思います。その糖度を計るのが糖度計です。

 

(糖度計)

 

(寒天液と小豆蜜をあわせた状態)

(糖度を50にあわせ、小豆をあわせた状態)

最終糖度は、63にする・・・

煮詰めていくと、必ず灰汁(あく)を丁寧に取り除きます。上の写真の白い泡の部分が灰汁です。丁寧に取り除くことで、すっきりとした小豆の風味になります。そして煮詰めていき、最終の糖度は63まで持っていきます。

小豆の美味しさを目的とした糖度・・・

和菓子も蜜や羊羹、餡を作る際に使用しています。これらの和菓子は鍋で煮詰めて作るため、どれくらいまで煮詰めればよいのか、目で判断することは難しいです。そこで糖度計を使い、常に同じ数値に仕上げることで、均一なものを作ることができます。

糖度計を使う、もう一つの理由があります。煮詰めて糖度を高めることで、固体の中の水分量を少なくすることで、腐敗を防ぐことができます。糖度をよりあげて、70にすることも可能で、より腐敗を防ぎ、日持ちをさせることができます。ただ、そこに一つの問題点があります。それは、小豆の風味です。糖度をあげれば上げるほど、日持ちはするようになりますが、小豆の風味は落ちます。砂糖をつかうということは、煮詰めていくほど、カラメルに近づいていきますので、その分小豆の風味はなくなっていきます。逆に、糖度が低くすぎると、水分が多いため、小豆のふうみが水っぽい風味になります。そして、水分が多いと日持ちはしないお菓子になります。

私は、この『ほまれ』が小豆の風味を活かしたお菓子になることを目的としていますので、砂糖を多くする、煮詰めて糖度を高くする、日持ちがして作り置きができるを目的にしていません。あくまで、小豆の美味しさを最大限に生かし、それによって、日持ちはどうですか?と試験していくことが本来のあり方です。美味しいが賞味期限であり、日持ちが賞味期限ではありません。そこは、すべてのお菓子に通じる考えです。『ほまれ』の賞味期限は、美味しさを求めた結果、14日になりました。